| 額なし | 額あり(木製枠アクリル) | 額あり(全面アクリル) |
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寛政六年五月、河原崎座の切狂言として上演された「義経千本桜」の内川連館の場に登場する二人を描いた作品で、写楽の第一期の半身二人立図のうちのひとつになります。右の淀五郎の川連法眼は、吉野山にのがれた源義経をかくまっている役、一方左の鬼佐渡坊は、その義経を狙う悪僧横川覚範の手下の悪坊主善悪二人の対照をここに描いています。他の二人立でいろいろな対照を見せているように、この絵でも、淀五郎の口が開いているのに対し、善次の口は結ばれ、淀五郎の指を握っているのに対し、善次の指はパッと開き、淀五郎の長髪に対し、善次坊は主頭というように対照を見せて画面に変化を与えています。この場に登場する役としては、静御前、佐藤忠信、横川覚範があり、川連法眼にこれらの人物を配すのが普通ですが、写楽は他の絵でもそうであるように、常套にとらわれずに作画をしていました。というのは淀五郎、善次のマスクに自己の芸術を発揮する意欲を感じたことによると思われ、そこに写楽と他の絵師との違い、非凡さが表れているところなのです。
二世沢村淀五郎は、当時実悪方で「上上白吉」(上上吉に届かないため吉の字を白抜きにしたもの)の位置にあり、坂東善次については「岩井喜代太郎の鷺坂左内の妻藤波と坂東善次の鷲塚官太夫の妻小笹」の解説にも記したが上級の役者ではありませんでした。
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